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逮捕後の早期釈放や保釈は刑事事件に強い弁護士への依頼を検討しよう

逮捕後の早期釈放や保釈は刑事事件に強い弁護士への依頼を検討しよう

公開日2022/04/08

更新日2022/08/04

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岡崎刑事総合法律事務所庫元 健太郎弁護士

逮捕後、早期釈放や起訴後に保釈が認められるには、刑事事件に精通している弁護士に依頼することがとても重要です。

今回は逮捕後の釈放と保釈の違いや、早期釈放や保釈を目指すなら、なぜ弁護士に依頼すべきなのかを解説していきたいと思います。

【この記事のポイント】

  • 早期釈放を目指すために弁護士へ依頼するメリットがわかる
  • 保釈を希望するときに弁護士へ依頼するメリットがわかる

逮捕後の釈放と保釈の違いは?

逮捕後の釈放と保釈というと、どちらも身柄拘束から解放されることなので、同じことだと考える方もいるかもしれません。しかし、実際には明確な違いがあります。

逮捕後の釈放と保釈の違いについて確認していきましょう。

逮捕後の釈放とは起訴前に身柄が解放されること

ここでいう逮捕後の釈放とは、起訴前に身柄が解放されることを指しています。

逮捕された場合、まず最大で72時間、警察署内にある留置場に収容されることになります。

勾留が決定された場合、72時間に加え、原則として10日間、延長された場合には最大で20日間、逮捕期間を加えると1つの事件で最大23日間身柄を拘束されることとなります。

逮捕後、釈放されるタイミングとして、次のような場合が考えられます。

1.警察の捜査で検察に送致しないと判断された場合

2.検察が捜査を行い、不起訴処分となった場合

3.逃亡や証拠隠滅の恐れが無いとみなされ在宅事件になった場合


1、2については、捜査機関で、捜査を行ったうえでの判断なので、釈放後、再捜査され、再び逮捕される危険性は低いです。

3については、釈放後も引き続き捜査機関で捜査される可能性があります。

在宅起訴となり、有罪判決を受けることもあります。

保釈とは起訴後に保釈金を支払って身柄が解放されること

保釈とは、検察から起訴(公判請求※刑事裁判を開くこと)された後に、裁判所に保釈金をおさめて身柄が解放されることをいいます。

勾留を経て検察が起訴の判断をした場合、何もしないでいると被告人勾留といって、状況によっては、起訴から刑事裁判で判決が下るまで、長期にわたって身柄を拘束される可能性があります。

令和2年度犯罪白書のデータによると、令和元年の通常第一審における勾留率は、簡易裁判所で68.8パーセント、地方裁判所では73.5パーセントとなっています。

起訴から第1審の判決が下るまでの平均審理期間(※1)は、自白事件(※2)で平均2.8か月程度です。

保釈をされない場合、起訴前の勾留期間とあわせて、3か月以上身柄を拘束される可能性があります。

また、否認事件(※3)の平均審理期間は9.3か月と自白事件よりもかなり長いです。

そのため保釈されないと、1年を超える長期的な身柄拘束をされる可能性があるのです。

長期間の勾留は、仕事や学校等に通えなくなるため、大きなデメリットが発生します。したがって、刑事事件において保釈が認められるかどうかはかなりの重要となります。

※1ここでいう平均審理期間とは起訴から第1審の判決が下されるまでを指しています。

※2自白事件とは、被告人が起訴事実を認めている刑事事件のことを指します。

※3否認事件とは被告人が起訴事実を認めておらず、検察と争いになる事件を指します。

逮捕後の釈放を弁護士に依頼するメリットとは?

逮捕後の釈放が実現するスピードによって、日常生活への影響が大きく変わってきます。

早期釈放を望むのであれば、弁護士に弁護を依頼することが最も効果的な方法で、具体的なメリットとして、以下が考えられます。

  • 不起訴処分になるように活動をしてくれる
  • 検察や裁判所に勾留請求却下等の交渉をしてくれる

早速それぞれ確認していきましょう。

不起訴処分になるように活動をしてくれる

弁護士に依頼した場合、早期釈放を実現するため、不起訴処分となるよう活動をしてくれることが考えられます。

不起訴処分を得るための活動として、まず被害者との示談交渉が挙げられます。

実際に犯罪を行っており、加害者がその事実を認めていた場合、被害者との示談が成立しているかどうかが、検察の起訴・不起訴の判断に大きく影響する可能性が高いです。

また、事件が検察へ送致される前に示談が成立すれば、警察が微罪処分として処理してくれることもあります。

弁護士に依頼すれば加害者本人やその家族に代わって被害者側との示談交渉を行ってくれます。

なお、加害者として加害事実を認めない場合であっても、不起訴処分を狙って示談交渉をすることはありえます。

処分の見通しが把握しにくいこと、被害者の納得が難しいこと、加害者側自体の納得といった様々な問題がありますので、依頼した弁護士とよく話し合って決めることが必要です。

一方で、逮捕された理由を争う場合には、捜査機関に対して、真犯人の可能性や被疑者のアリバイ等の証拠を提示し説得することで、被疑者の嫌疑を晴らす必要があります。

日本の刑事事件は、「疑わしきは罰せず」を基本とし、黙秘権を保障しているので、単に嫌疑を否定すればいいじゃないかと思う方もいるかもしれません。

しかし、逮捕、勾留された時点で捜査機関はそれに踏み切るに足る確証を持っているといっても過言ではありません。

そのため、説得するには、豊富な法的知識が必要といえ、弁護士の協力が重要なのです。

弁護士は取り調べに同席する権利はありませんが、被疑者本人から、どういう取り調べを受けているかを確認し、取り調べに対して、黙秘すべきなのか、話してもいいのか、どう話したらいいのかといったアドバイスができます。

身柄拘束での四面楚歌の状態では、黙秘や否認を続けるのは精神的に追い込まれる人も多いですので、味方である護士の面会自体も重要といえます。

裁判所や検察に勾留請求却下等の活動をしてくれる

早期釈放を目指す場合に弁護士へ依頼するメリットとして検察や裁判所に勾留却下の活動をしてくれる点です。

検察官が裁判所に対して勾留請求を行った場合、その勾留を却下してもらうには、基本的に以下の条件を満たす必要があります。


  • 逃亡のおそれがないこと
  • 証拠隠滅のおそれがないこと
  • 定まった住居があること



検察官から裁判所に対し勾留請求が行われた場合、被疑者は裁判所に上記3つの条件をみたしていると判断してもらう必要があります。

裁判所が、勾留を認めるかどうかは、「被疑者との面談」「弁護人の意見書」「検察官から提出された捜査書類」から総合的に判断します。

弁護士に依頼した場合、裁判所での面談のアドバイスや意見書を提出することで、勾留回避に尽力してくれます。

また、裁判所が勾留を認めたとしても、準抗告といって、不服申し立ての手続きも行ってくれます。

一方で、状況によっては検察官に勾留請求をしないよう意見書を提出し、交渉してくれる場合もあります。

そもそも検察官が裁判所に対し、勾留請求を行わなければ最大でも72時間の身柄拘束ですみます。

そのため被疑者の弁護士が検察官に勾留請求をしないように交渉して、釈放となるケースも考えられるでしょう。

勾留の判断については、加害者による被害者との接触可能性も重視されているようです。

勾留の判断の前に、弁護士を通じて被害者に示談の申し出を行っておくことで、加害者本人が被害者は接触しないで済む体制を整えておくことが、勾留回避の可能性を少しでも上げることに繋がるといえます。

起訴後の保釈を弁護士に依頼するメリットとは?

事件の性質や被疑者が過去に同様の罪で前科があったり、起訴猶予を受けていたりすると、被害者との示談を成立させる等の不起訴を訴えるような働きかけをしたとしても起訴されてしまう可能性があります。

起訴された場合の被告人勾留は、事件によって長期の身柄拘束が予想されます。

そのため、保釈を目指し、弁護士は次のような対応をしてくれます。


  • 保釈請求が認められやすいよう交渉を行ってくれる
  • 保釈金についてアドバイスをしてくれる



被告人勾留を回避するために弁護士は具体的にどのようなことをしてくれるのか確認していきましょう。

保釈請求が認められやすいよう交渉を行ってくれる

弁護士に保釈請求を依頼する1つのメリットとして保釈請求が認められやすいように交渉を行ってくれる点が挙げられます。

保釈請求ができる事件の基準として次のようなものあります。


(1)被告人の嫌疑が死刑、無期懲役、または短期1年以上が下限の禁錮もしくは懲役の罪に当たらない

(2)以前被告人が死刑、無期懲役、懲役10年以上の禁錮、もしくは懲役の罪で有罪宣告を受けていない

(3)被告人が常習として有期3年以上の禁錮もしくは懲役の罪で有罪宣告を受けていない

(4)被告人に証拠隠滅のおそれがないこと

(5)被告人が被害者やその親族、または証人等に危害を加えたり、脅迫したりするおそれがないこと

(6)被告人の身元がはっきりしているとき


上記(1)から(6)をすべて満たしている場合には、法律上の保釈(必要的保釈)が認められますが、実際は必要的保釈が認められるケースは多くありません。

その代わり、被告人の状況等を裁判所が総合的に判断して保釈(裁量保釈)が認められるケースもあります。

弁護士に依頼した場合、保釈請求の手続きを代理で行ってもらうことができます。

保釈請求は、弁護士以外でも、被告人や被告人の家族等が行うことはできますが、請求が認められるためには、保釈の必要性を書面でしっかり伝える必要があります。

保釈の必要性を訴えるには、豊富な法知識や経験がかなり重要となるので、自力でどうにかしようとせず弁護士に依頼した方が良いでしょう。

保釈金等についてアドバイスをしてくれる

弁護士に保釈を依頼する2つめのメリットとして、保釈金等についてアドバイスを行ってくれる点です。

保釈金の正式名称は、保釈保証金と言い、被告人の保釈を認める代わりに裁判所へおさめるお金のことです。

保釈金は、被告人が逃亡や証拠の隠滅等を行うことなく、保釈の際の条件を守ってきちんと刑事裁判を受ければ、裁判終了後に返還されます。たとえ、有罪判決がくだったとしても戻ってくるのでご安心ください。

保釈はお金を担保に身柄解放をされるので、被告人の経済力等によっては、大きな金額になりえる場合があります。

弁護士に依頼した場合、保釈金の支払いがどれくらいの見込みになるのかアドバイスをしてくれたり、場合によっては裁判所と保釈金の交渉を行ってくれることもあります。

また、保釈金の支払いが難しい場合の立替制度等についてアドバイスしてくれたりすることもあります。

逮捕後の早期釈放や保釈を認められたいなら早く弁護士に依頼すべき

逮捕後の早期釈放や保釈を目指すならば、早い段階で弁護士に依頼することが適切な対処法です。

逮捕・勾留されていたりすると、被疑者や被告人本人やその家族ができることは限られてしまいます。

また、勾留されてからは、被疑者が「貧困その他の事由により弁護人を選任することができないとき」(刑事訴訟法37条の2)にあたる場合は、国選弁護人を選任することはできます。ただし、誰を選任するかを選ぶことはできず、また原則として国選弁護人の変更はしてもらえません(私選弁護士への変更は自由です)。

一方、本人や家族が選ぶ私選弁護士であれば、面談等で弁護士の人となりや経験、情熱を確認の上で、自由に弁護士に依頼することができますし、勾留前であれば勾留回避に向けた活動も期待できます。

まとめ

今回は、逮捕後の早期釈放や保釈を目指す場合、弁護士に依頼するメリットについて解説してきました。

逮捕後の勾留請求を却下したり、保釈請求を行ったりするには豊富な法的知識が必要となります。

加えて被疑者や被告人、その家族ではできることが限られてしまいます。

そのため、早期釈放や保釈を考えるのであれば、刑事事件に精通した弁護士に依頼した方が良いでしょう。

この記事の監修者

岡崎刑事総合法律事務所庫元 健太郎弁護士

【所属】愛知県弁護士会
岡崎刑事総合事務所は、三河地域唯一の刑事事件に特化した法律事務所です。代表を務める弁護士・庫元 健太郎は、弁護士登録以降、数多くの刑事事件や少年事件に対応して参りました。加害者の方が「罪を犯した」ことを心から反省し、償い、それから先の未来を創るお手伝いができるような刑事弁護に尽力しておりますので、お困りの方は一度ご相談ください。

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