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刑事事件の対処方法とは?

公開日2022/06/23

更新日2022/07/13

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刑事事件の加害者となってしまった場合、逮捕されたり、逮捕はされなくても警察から任意同行など捜査の協力を要請されたりする場合があります。

このような状況となったとき、どのような対処法があるのでしょうか。

【この記事のポイント】

  • 在宅事件と逮捕事件の違いがわかる
  • 在宅時間の対処法が知れる
  • 逮捕されたときの対処法が知れる



刑事事件は大きく2パターンに分けられる

刑事事件には大きく2つのパターンに分けられます。

パターンによってその後の流れや対処法が変わっていきます。

早速どんなパターンなのか確認していきましょう。

逮捕されずに捜査される

刑事事件と聞くと必ず逮捕されるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際は逮捕されずに捜査を行う場合もあります。

警察や検察から刑事事件の被疑者や事件に何らかの関与があると疑いをかけられた場合、身柄を拘束されずに捜査されることがあります。

身柄を拘束されずに、捜査や起訴等をされる事件のことを在宅事件といいます。

在宅事件の場合、身柄が拘束されていないので、日常生活を送りながら、警察や検察の捜査に応じることになります。

在宅事件になりやすいケースとして、比較的被害が軽微な事件で、被疑者や被告人に逃亡・証拠隠滅のおそれがないことです。

逮捕されて身柄が拘束される

刑事事件では、警察や検察が罪を犯したという強い嫌疑がある場合、裁判所の許可(※)のもと、逮捕されることがあります。

刑事事件で逮捕された場合、最大48時間、警察に身柄を拘束されます。

その後検察に身柄送致がされると、24時間以内に勾留の請求、または起訴するかどうかを決める必要があります。

勾留の請求が必要と判断した場合には、原則として最大10日間、延長された場合には最大20日間身柄を拘束されることになります。

逮捕されてから最大48時間、その後検察に身柄を送致された場合にはプラスで最大24時間の計72時間は、基本的に家族ですら面会することができません。

加えてスマホやタブレット等、外部との連絡が取れる機器はすべて没収されるので、情報を集めることも難しいです。

(※)ここでいう逮捕とは通常逮捕を想定しています。現行犯逮捕は裁判所の許可はいりません。また緊急逮捕は事後に逮捕状が発布されます。

在宅事件となった場合の注意点と対処法とは?

刑事事件で在宅事件となった場合、具体的にどのような注意点があり、どのような対処法があるのでしょうか。

在宅事件の注意点

在宅事件の注意点として、次のような注意点があります。

  • 調査期間にタイムリミットが無い
  • 状況によって逮捕される可能性がある

※ここで解説する在宅事件は、はじめから身柄を拘束されていない事件を想定しています。

具体的にどのような点に注意すべきなのか確認していきたいと思います。

捜査期間にタイムリミットが無い

在宅事件の注意点として、捜査期間にタイムリミットが無いことです。

逮捕の場合、人権保障の観点から、捜査機関は原則として72時間以内に勾留の請求や起訴するかどうかを決めねばなりません。

対して在宅事件の場合、身柄を拘束されていません。

人権のひとつである「身体の自由」を侵していないため、捜査機関はタイムリミットを考えずに捜査することができます。

身柄が拘束されないことは、在宅事件の大きなメリットです。

しかし、その反面、捜査期間が長くなる傾向にあるので、その間、任意同行に何度も応じなければならない可能性があります。

また、在宅事件とはいえ、捜査機関が証拠品の押収等の必要性があると感じた時には、裁判所から許可を得て家宅捜索等をされる可能性もあるのです。

状況によって逮捕される可能性がある

在宅事件の注意点として、状況によっては逮捕される可能性がある点です。

在宅事件の場合、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことが大前提です。

そのため、警察や検察が捜査を進めるにあたって、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断した場合には、裁判所に逮捕状を請求のもと、逮捕事件に切り替わります。

そのため、捜査機関に逮捕の必要があると判断されないように対応する必要があります。

在宅事件の対処法

刑事事件で在宅事件となった場合、具体的にどのような対処を行うべきなのでしょうか。

具体的な行動について確認していきたいと思います。

逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとみなされないようにする

在宅事件では、捜査機関に逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとみなされるような行動は控えてください。

具体的な行動として、警察や検察に呼び出しに全く応じない、ということが挙げられます。

このような行動を取ると、逮捕事件に切り替わったり、勾留されたりする可能性が高くなります。

したがって、捜査機関の呼び出しには応じるようにしましょう。

仕事や学校で指定された日時に応じられない場合には、しっかり理由を説明し、別の日程で調整できないか等を打診してみるのも良いかもしれません。

捜査機関の捜査に協力的な姿勢をみせる

在宅事件では、捜査機関の捜査に協力的な姿勢をみせることが大切です。

そのため捜査機関の呼び出しには極力応じるようにしましょう。

絶対にしてはいけない対処として、「捜査するなら捜査令状とってこいよ」といったような挑発的な態度を取ることです。

捜査に非協力的な態度を取った場合、「被疑者は全く捜査に協力する気が無い」と判断されて、強制捜査に踏み切られることがあります。

といっても、任意の捜査では拒否しても良いこともありますので、どこまで捜査協力を行うべきかの線引きを判断するのは難しいといって良いでしょう。

逮捕された場合の注意点と対処法とは?

刑事事件で逮捕された場合の注意点と対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。

逮捕された時の注意点

逮捕された時の注意点として、大きく2つの注意すべきことがあり、以下のとおりです。

  • 最大72時間は外部と連絡が取れない
  • 国選弁護人は逮捕段階では選任できない



それぞれ詳しく確認していきましょう。

最大72時間は外部と連絡が取れない

逮捕された場合、最大72時間は、外部との連絡が取れないと考えてください。

逮捕された時点で、スマホやアイパッド等の外部との通信機器はすべて没収されます。

加えて、逮捕状に接見禁止が盛り込まれていた場合、逮捕から警察から検察に身柄を送致され、起訴の可否、または勾留が決定するまでは家族であっても面会が許されません。

例外として、弁護士のみが接見可能となります。

したがって、逮捕後最大72時間は外部とほとんど連絡が取れない状態になると考えておいた方が良いでしょう。

国選弁護人は逮捕段階では選任できない

逮捕された時の注意点として、逮捕段階では国選弁護人を選任することができないことです。

国選弁護人とは、貧困等を理由に被疑者や被告人が弁護人を選任できないときに利用できる制度です。

しかし、国選弁護人は逮捕段階では、選任することができず勾留が決定してはじめて選任することができます。

したがって逮捕段階で弁護士を選任したいと思った場合には、被疑者本人、もしくは家族等が私選弁護人を選任する必要がありますので注意が必要です。

国選弁護人は選任されるひとによって、弁護活動の姿勢が大きく違います。

場合によっては、積極的に不起訴を訴えかけるような弁護活動を行ってくれなかったり、接見に全然来てくれず信頼関係を作れなかったりというようなリスクがあるということを念頭に入れておきましょう。

逮捕された場合の対処法

逮捕された場合に被疑者本人やその家族等が行える対処法はほぼ一択で、弁護士に弁護を依頼することです。

まず、被疑者本人は逮捕された段階で、自分で自分の弁護活動を行うのは、身柄を拘束されているため不可能に近いです。

被疑者の家族が対処を行おうとしても、基本的に逮捕直後は面会が許されず、またその他の手段も法的な知識等が必要となり、かなりハードルが高いです。

そのため、一刻も早く弁護士に依頼することが重要となります。

刑事事件で逮捕された場合、弁護士に依頼すると、以下のような対応を行ってくれます。

  • 被害者と示談交渉を行ってくれる
  • 警察や検察と交渉し早期釈放を目指してくれる
  • 起訴された場合でも状況に応じた最善の策を提示してくれる



それぞれどのような対処法を行ってくれるのか確認していきましょう。

被害者と示談交渉を行ってくれる

逮捕されたときに弁護士が行う対処法のひとつとして、被害者との示談交渉が挙げられます。早期に被害者との示談を成立させることで、不起訴処分になったり、起訴されたとしても減刑になったりする可能性が高くなります。

被害者との示談交渉は、加害者本人や家族で行うのがほぼ困難であるケースが多いので、弁護士だからこそ行える対処法のひとつです。

勾留を回避するために尽力してくれる

逮捕されたときに弁護士が行ってくれる対応として勾留を回避するために尽力してくれることです。

勾留は、検察官が逮捕後引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合、裁判所に対して勾留請求を行います。

裁判所は検察の勾留請求を受け、捜査書類や被疑者との面会を経て、勾留を認めるかどうか判断します。

検察官の勾留請求に対し、何も手段を講じないでいると、裁判所が勾留を認める可能性が高いです。

しかし、弁護士に依頼すれば、裁判所に対し意見書を出したり、被疑者に裁判所との面会時の対応をアドバイスしたりすることで、勾留されないよう尽力してくれます。

起訴された場合でも状況に応じたアドバイスをくれる

弁護士に依頼した場合、起訴された場合でも状況に応じたアドバイスをくれる点です。

加害者が罪を認めている場合、執行猶予や減刑になるよう行動してくれたり、保釈請求をしたりして被告人の利益になるような弁護活動を行ってくれます。

また、被告人が否認している場合には、無罪となるように動いてくれます。

刑事事件の適切な対処法は弁護士に依頼すること

刑事事件を起こしてしまった場合、適切な対処法は弁護士に依頼することです。

弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロです。

刑事事件を自力で解決しようとしてかえって状況が悪くなる場合も考えられます。

刑事事件は今後の人生が大きく変わる可能性が高く、一般の方では対処が難しい問題です。

そのため、対応に迷ったら、まずは弁護士に相談しましょう。

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