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詐欺罪とは | 刑罰や有罪判決の影響をわかりやすく解説

詐欺罪とは | 刑罰や有罪判決の影響をわかりやすく解説

公開日2024/02/08

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秋葉原あやめ法律事務所弁護士 岡島賢太

詐欺罪とは何か?

詐欺罪とは、刑法第246条に規定されている犯罪で、人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする行為などに成立する犯罪です。

人を欺いて財物を交付させる類型の詐欺罪は「1項詐欺」、人を欺いて財産上不法の利益を得るなどする類型の詐欺罪は「2項詐欺」と呼ばれています。

なぜ詐欺罪が問題とされているのか?

詐欺罪は、他人の財産などを侵害する類型の犯罪であり、財産犯に位置づけられます。

他人の財産を不法に侵害する行為は、社会の財産秩序を乱すものであり、それゆえに刑罰によって厳しく禁圧されています。

詐欺罪の種類

詐欺罪にはいくつかの種類があります。詐欺罪の種類をご紹介します。

どんな種類の詐欺があるのか?

詐欺罪には、社会的な類型に応じてさまざまなものがありますが、例えば次のようなものがあります。

  • 金銭詐欺
  • 食い逃げ
  • オレオレ詐欺(振り込め詐欺)

これらについてご説明します。

金銭詐欺

「金銭詐欺」とは、その名のとおり現金などの金銭をだまし取る類型の詐欺罪です。

「財布を落としてしまって帰りの電車賃が足りないからお金を貸してほしい」などといって、真実はそうではないのにお金をだまし取る行為などが古典的に存在します。

このように少額の現金をだまし取る詐欺は、「寸借詐欺」とも呼ばれます。

食い逃げ

「食い逃げ」とは、飲食店で最初から飲食の代金を支払うつもりがないのに飲食をして、すきをみてお金を支払わないまま逃走するものです。

食い逃げには、一般的には詐欺罪が成立します。

これは、飲食の代金を支払うつもりがないのに注文をして飲食物の交付を受けた行為が欺く行為にあたるとされるからです。

オレオレ詐欺(振り込め詐欺)

被害者の子どもなどになりすまして被害者に電話をかけ、お金が必要になったとうそを言い、お金を指定した口座に振り込ませる類型の詐欺です。

「特殊詐欺」の古典的な類型であり、社会で大きな問題になっている類型の詐欺です。

特殊詐欺は、組織性が高く、暴力団などの違法な団体の資金源になっているともされていることから、警察など取締機関が特に厳しく取り締まっている類型の詐欺です。

その他の詐欺罪の類型

そのほかにも、詐欺罪にはさまざまな類型のものがあります。例えば、次のようなものがあります。

  • 結婚詐欺
  • 投資詐欺
  • 前金詐欺
  • 取り込み詐欺
  • 保険金詐欺
  • 還付金詐欺
  • 募金詐欺
  • 架空請求詐欺

このように、詐欺にはさまざまな類型のものがあります。

社会が進展するにつれて日々さまざまな手口の詐欺が生まれており、取締り側と詐欺犯人とはいわば「いたちごっこ」のようになっています。

新しい類型の詐欺に騙されてお金を取られてしまわないように気をつけることはもちろん、新しい類型の詐欺に騙されて共犯として加担してしまわないように気をつけることも大切です。

詐欺罪の構成要件

詐欺罪が成立するための条件のことを「構成要件」といいます。

特に1項詐欺の場合を念頭に、詐欺罪の構成要件について解説します。

詐欺罪が成立するための条件とは?

詐欺罪が成立するための条件(構成要件)には、次のものがあります。

  • 人を欺く行為をしたこと
  • 被害者が錯誤に陥ったこと
  • 被害者が財産を交付したこと
  • 財物が被害者から犯人の元へと移転したこと
  • これら全ての間に因果関係があること

欺く行為

一つ目の条件は、犯人が人を欺く行為をしたことです。欺く行為は、「欺罔行為(ぎもうこうい)」とも呼ばれます。

欺く行為は、財物を交付させるためのものである必要があります。

うそをついて、その結果として財物が交付されることが必要だということです。

また、積極的にうそを言わなくても、真実を告知する義務があるのに相手が錯誤に陥っていることを知りながら黙っていた場合にも欺く行為が認められることがあります。

例えば、生命保険を契約する際に疾病にかかっていることを告知する義務があるのにことさらにそれを黙ったまま疾病を告知しないで生命保険契約を締結する行為には、この欺く行為が認められる可能性があります。

被害者の錯誤

次に、欺く行為によって被害者が錯誤に陥ることが必要です。

「錯誤」とは、被害者の認識と客観的な事実とが食い違っていることをいいます。

例えば、食い逃げの事案において、お金を支払うつもりだからというふりをして飲食物を注文し、飲食店が飲食物を提供したとします。

この場合、被害者である飲食店は「飲食物の代金を支払ってもらえる」と思って飲食物を提供していますが、実際には犯人は代金を支払わないまま逃走する意図を有しており、被害者の認識と客観的な事実とが食い違っているため、錯誤があるといえます。

交付行為

被害者によって財物が交付されることも必要です。

「交付」とは、意思に基づいて財物が移転されることです。

例えば、被害者が犯人に意思に基づいて現金を渡す行為は、交付行為です。

これに対して、意思に基づかないで財物が移転された場合には、交付行為があったとは認められず、詐欺罪の成立は問題となりません。

意思に基づかないで財物が移転された場合とは、被害者が犯人に何らかのうそを言われてよそ見をしている間に現金が取られた場合などです。

この場合には、窃盗罪などの成立が問題となります。

財物の移転

被害者が犯人の欺く行為に基づいて錯誤に陥り財物を交付して財物が犯人の下に移転したことをもって、詐欺罪が既遂に達します。

これに対して、財物の交付行為が行われたものの財物が犯人の下へと移転しなかった場合には、詐欺罪は未遂に終わったということになります。

例えば、詐欺が行われていることを探知した警察官が現場を見張っており現金の交付の直前に犯人を取り押さえた場合などがこれにあたります。

詐欺未遂罪も処罰の対象であり、刑事罰が科せられます。

因果関係

ここまでにご説明したそれぞれの条件は、全て因果関係で結ばれている必要があります。

因果関係とは、「それがあったからこれがある」という関係のことです。

ここまでにご説明したそれぞれの条件が因果関係で結ばれていない場合には、詐欺罪は成立せず、詐欺未遂罪などが成立するにとどまります。

詐欺罪に関する法的プロセスの流れ

詐欺罪に関する法的プロセスの流れについてご説明します。

詐欺罪の捜査から裁判までのステップ

詐欺罪が行われた場合には、捜査から始まり、犯人が検挙された場合には裁判まで行われることもあります。

捜査から裁判までのステップについてご説明します。

まず、詐欺犯罪が行われ、そのことが被害届などから判明すると、捜査が行われます。

捜査は、警察によって行われ、被害者への事情の聴き取りや客観的なお金の流れの解明などが行われます。

捜査の結果、犯人や犯罪の存在を特定できた場合には、警察によって犯人が検挙されます。

犯人が検挙される場合、詐欺罪では多くのケースで犯人が逮捕されます。

犯人が逮捕されたら、引き続き勾留がなされることが一般的です。

逮捕・勾留はあわせて最大で23日間に及び、その間捜査機関は捜査を尽くし、犯人に対して取調べを行うなどのことをします。

その後、犯人が起訴され、裁判が行われます。

裁判の中で詐欺罪の成立の有無について審理がなされ、詐欺罪が成立すると判断されれば有罪判決が言い渡されて具体的な刑が言い渡されることとなります。

有罪判決の影響

詐欺罪で有罪判決を受けると、被告人は大きな影響を受けます。

このことについてご説明します。

有罪になるとどんな罰則があるのか?

詐欺罪で有罪になると、「10年以下の懲役」が科せられます。

詐欺罪には罰金刑の定めがありませんので、有罪になれば必ず懲役刑が言い渡されることとなります。

加害者の生活にどのような影響があるのか?

詐欺罪で懲役刑を言い渡されたら、原則として刑務所に服役しなければなりません。

例外的に、初犯で懲役刑の長さが3年以下の場合など一定の要件を満たす場合には、執行猶予付き判決が言い渡されることがあります。

執行猶予付き判決が言い渡されれば、実際にはすぐに刑務所に服役しなくてもよいこととされます。

とはいえ、懲役刑の実刑が言い渡されることも多いことから、詐欺罪で有罪を言い渡された場合には被告人は刑務所に服役しなければならないなど生活に甚大な影響を受けるといえます。

詐欺罪の時効

詐欺罪の公訴時効は7年です。

公訴時効とは、犯罪行為が終了した時点から一定の期間が経過した場合には、もはや起訴されないという期間のことです。

詐欺罪を犯してから原則として7年間起訴されないままでいれば、もはやその後に起訴されることはないということです。もっとも、簡単に公訴時効が成立してしまわないように捜査機関は全力で詐欺犯人を検挙するために動くので、実際に公訴時効が成立して起訴を免れることができるケースは多くありません。

詐欺罪の時効について、詳しくはこちらをご覧ください。

加害者側弁護士の役割

詐欺罪の加害者側弁護士の役割についてご説明します。

加害者側弁護士はどのような仕事をするのか?

詐欺罪を犯した加害者のためについた弁護士は、弁護人として加害者の権利を守るために活動します。

加害者は、罪を犯したと疑われて捜査対象になっている間は「被疑者」と呼ばれ、実際に起訴された後には「被告人」と呼ばれる立場に置かれます。

「弁護人」とは、この被疑者・被告人の刑事手続き上の権利を擁護するためにさまざまな活動をする役割の人のことをいいます。

例えば、弁護人は被疑者に取調べに対してどのように対応したらいいのかをアドバイスします。

これにより、被疑者は警察の取調べに何を話せばいいのかということや黙秘権を行使して黙秘するべきなのかなど、適切に判断して対応することができるようになります。

また、弁護人は身体拘束を受けている被疑者のために、身体拘束からの解放のための手続きを行ってくれます。

勾留決定がなされれば勾留決定に対する準抗告を行ったり、勾留延長がなされれば勾留延長に対する準抗告を行ったりしてくれます。

これらはいずれも裁判所に対する異議申立ての手続きであり、弁護人の専門的な知識があってこそ適切に行うことができるものです。

弁護人は、このほかにも、起訴後の保釈手続きや刑事裁判の審理での活動など、さまざまな活動を行ってくれます。

加害者側弁護士の重要性

加害者側の弁護士(弁護人)は、加害者(犯人)と疑われて捜査・訴追の対象となっている人(被疑者・被告人)にとっては、とても重要な存在です。

弁護人は、被疑者・被告人の権利を擁護するための活動を行ってくれる唯一の存在です。

弁護人は被疑者・被告人の権利を擁護するために、身体拘束からの解放手続きなども含めてさまざまな活動を行ってくれるほか、被疑者・被告人の言い分に沿って刑事裁判への対応をしてくれます。

このような弁護人の活動の結果、早期に身体拘束から解放されたり不当な権利侵害を防ぐことができたり、場合によっては無罪の主張を裁判所に伝えることができることもあり得ます。

弁護人が適切な弁護活動を行ってくれるかどうかは、被疑者・被告人の権利が最大限に守られるかどうかの分かれ目です。

適切な弁護活動を行ってくれる弁護士を弁護人に選任することで、被疑者・被告人の刑事手続き上の権利をできる限り守るようにすることが、被疑者・被告人にとっては重要であるといえます。

弁護士選びのポイント

被疑者・被告人の権利を最大限に守ってくれる弁護士を弁護人として選ぶことは、とても重要なことです。弁護士選びのポイントについてご説明します。

ポイント1:詐欺罪の弁護経験が豊富な弁護士に依頼する

詐欺罪で弁護人を選ぶにあたっては、なにより詐欺罪の弁護経験が豊富な弁護士に依頼することが重要です。

弁護士は、全ての弁護士が刑事弁護の経験を豊富に持っているわけではありません。

中には、刑事弁護は全くやらないという弁護士も多くいます。

普段から刑事弁護を全くやらないという弁護士に詐欺罪の刑事弁護を依頼しても、適切な弁護活動を行ってもらうことは難しいでしょう。

詐欺罪で弁護人を選ぶにあたっては、詐欺罪の弁護経験が豊富な弁護士に依頼するようにしましょう。

詐欺罪の弁護経験が豊富かどうかは、依頼を検討している弁護士のウェブサイトを見て詐欺罪に関する情報発信をたくさんしているかどうかや、詐欺罪に関する解決実績をたくさん載せているかどうかによって判断することができます。

依頼を検討している弁護士がいるのであれば、まずはその弁護士のウェブサイトをしっかりと見て、詐欺罪の弁護経験が豊富かどうかを判断するようにしましょう。

ポイント2:熱心に弁護活動を行ってくれる弁護士に依頼する

熱心に弁護活動を行ってくれる弁護士に依頼することも重要です。

熱心な弁護士であれば、しっかりとコミュニケーションを取ってくれて、あなたの意向を反映させることも十分にできるでしょう。

熱心な弁護士かどうかは、依頼のための面談をすることで判断することができます。

依頼のための初回の面談で、弁護士がどれだけ熱心に話をしてくれるかどうかどれだけしっかりとあなたの話を聴いてくれるかどうかなどを十分に見極め、信頼できるかどうかを判断しましょう。

ポイント3:費用が明確な弁護士に依頼する

刑事弁護の弁護士費用は、一般的には高額になりがちです。

また、結局どれだけ費用がかかるのかあいまいな事務所もあり、どれだけのお金がかかるのか分からないということもよくあります。

このため、刑事弁護の弁護士費用が明確な弁護士に依頼することは、安心して弁護活動を任せるために重要なことです。

刑事弁護の弁護士費用が明確かどうかは、弁護士のウェブサイトを見て判断したり、初回の面談の際にしっかりと尋ねたりして確認するようにしましょう。

刑事弁護の弁護士費用が明確であることを確認したうえで、納得して弁護士費用が払える事務所に依頼するようにしましょう。

まとめ:詐欺罪は人を欺いて財物をだまし取る犯罪。弁護士に依頼して十分な弁護を受けよう

詐欺罪は、人を欺いて財物をだまし取る犯罪です。詐欺罪は、法定刑が10年以下の懲役とされており、重い犯罪です。

詐欺罪を犯してしまったら、不当な取り扱いを避けて不当に重い刑を回避するためにも、適切に対応することが非常に重要です。

詐欺罪を犯してしまった場合には、適切な弁護士を弁護人に選任して弁護活動を行ってもらうことが欠かせません。

適切な弁護士の弁護活動を受けることで、実際に詐欺罪を犯した場合であっても最大限刑事手続き上の権利を擁護してもらうことができ、不当に重い刑を科せられたり刑事手続きの中で不当な取り扱いをされたりする可能性を下げることができます。

適切な弁護士を弁護人に選任するためには、弁護士選びが重要です。

弁護士を選ぶにあたっては、刑事弁護の経験が豊富な弁護士であることなど、いくつかのポイントを押さえて弁護士を選ぶようにすることが大切です。

詐欺罪を犯してしまったら、適切な弁護士を弁護人に選んで、不当な取り扱いを受けたり不当に重い刑を科されたりすることのないように最善の弁護活動をしてもらうようにしましょう。

この記事の監修者

秋葉原あやめ法律事務所弁護士 岡島賢太

第二東京弁護士会所属

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