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刑事事件用語集

目次

あ行

  • 慰謝料(いしゃりょう)

    慰謝料とは、不法行為によって被害者の受けた精神的苦痛に対する損害賠償として支払われる金銭のことをいいます。

    不法行為とは故意過失によって他人の権利を侵害することをいいます。犯罪行為はそれ自体が不法行為であたるため、被害者は慰謝料請求が認められることになります。

  • 違法捜査(いほうそうさ)

    違法捜査とは、違法と判断されるような手法によってなされた捜査のことをいいます。具体的な例として裁判所の許可を得る必要があるのにも関わらず、捜査機関の独断で逮捕や家宅捜索といった捜査が行われた場合や、暴行強迫などを用いて自白がとられた場合等が挙げられます。

  • 冤罪(えんざい)

    冤罪とは罪を犯した者ではないにもかかわらず、犯罪者として扱われることをいいます。

    法律用語ではありませんが、刑事事件では無実の罪で有罪判決を受けてしまった場合や逮捕・勾留を経て嫌疑が晴れた場合等に「冤罪」という言葉が用いられます。

  • 押収(おうしゅう)

    押収とは捜査機関や裁判所が証拠を確保するために、強制的に被疑者や被告人の所有物を没収することを指します。

    警察や検察が行う押収には大きく差押えと領置があります。

    差押えは被告人の所有物を証拠物や没収すべきとして強制的に行われる処分をいいます。一方で領置は被疑者や所有者などが任意に提出した物の占有を取得し、その占有を継続する処分であるため、強制処分には当たりません。また起訴後に裁判所がする提出命令という押収もあります。

か行

  • 確定的故意(かくていてきこい)

    確定的故意とは、自身が行う行為が犯罪にあたるということを認識しており、かつ、自身の行為によって犯罪結果が発生することを確実だと認識していることをいいます。

    そのため、犯罪でないと考えていた場合や、結果が発生するかもしれないと考えていたにすぎない場合には、確定的な故意はないということになります。

  • 過失(かしつ)

    過失とは注意不足によって起こってしまった失敗やミスをいいます。

    刑事事件では加害行為が故意によるものなのか、過失によるものなのかによって問われる罪が異なるケースがあります。更にいえば、刑法等に定められている罪には、成立する条件として「故意である」ことが前提となっているものもあるので、過失の場合には罪に問われないこともあります。

  • 過剰防衛(かじょうぼうえい)

    過剰防衛とは、相手からの攻撃に対してする防衛行為が相当性を欠くものであった場合をいい、刑法36条2項に規定されています。

    防衛行為は自分や他人の身や権利を守る範囲内で行われることが前提です。そのため、相手が素手で攻撃を加えてきた場合に刃物などの武器を使って反撃したり、防衛行為を継続しているうちに反撃が行き過ぎてしまったりした場合には過剰防衛とみなされる可能性が高いです。

  • 家宅捜索(かたくそうさく)

    捜索とは、押収する物や、被疑者、被告人を発見するために行われる強制処分のことをいいます。捜索のうち、捜索の対象が住居などの場所である場合を家宅捜索といいます。家宅捜索以外にも被告人などの身体や所持品に対して行われる身体捜索もあります。

    逮捕などのために捜索する場合や、その場所が逮捕の現場である場合を除いては、裁判官が発付する捜索許可状が必要となります。

  • 仮釈放(かりしゃくほう)

    仮釈放とは、主に懲役刑や禁錮刑を受け、刑務所に収容された受刑者を、その刑期が満了するよりも前に釈放することをいいます。仮釈放された場合、残りの刑の期間が過ぎれば刑期を終えたことになります。しかし、仮釈放中は保護観察に付されますが、保護観察中の遵守義務に違反した場合や、さらに罪を犯し、罰金以上の刑に処された場合には、仮釈放が取り消されてしまうこともあります。

    また、広義では、少年院や婦人補導院からの仮退院なども仮釈放に含まれます。

  • 科料(かりょう)

    科料は、刑法9条で定められている刑罰で金銭の納付を命じられる財産刑のことをいいます。納付しなければならない金額は1000円以上1万円未満であり、刑罰の中では最も軽い罰です。同じ財産刑である罰金は1万円以上の金銭を納付しなければならず、科料と罰金とでは金額面で違いがあります。

    また、紛らわしい言葉に「過料」という言葉があります。ふたつの大きな違いは、科料は刑事罰なので前科になりますが、過料は行政罰のため前科がつかない点です。

  • 棄却(ききゃく)

    刑事事件において棄却とは、そもそもの公訴の提起(起訴)を棄却する場合や、控訴、上告といった上訴を棄却する場合があります。民事訴訟の場合とは異なり、申立てが不適法である場合、理由がない場合のいずれでも却下という言葉が用いられますが、令状請求などの手続上の請求についても却下という言葉が用いられることが多くなっています。

  • 起訴(きそ)

    起訴とは、刑事事件の被疑者(容疑者)について、検察官が裁判所に刑事裁判での審理を求めることをいいます。本来的にはこの申立てを公訴といい、検察官が公訴を提起するということで起訴という言葉が用いられています。起訴されることによって、被疑者は被告人と呼ばれるようになります。

  • 起訴猶予(きそゆうよ)

    起訴について独占的な権限を有する検察官が行う処分であり、犯罪の立証が可能であるが、あえて起訴しないことを起訴猶予といい、不起訴処分の一類型となります。

    起訴猶予にするか否かの判断においては、被疑者(容疑者)の性格や年齢、犯罪の重さ、犯罪前後の状況、情状などが総合的に考慮されることとなります。

  • 求刑(きゅうけい)

    求刑とは、刑事裁判の手続における最後の手続である弁論手続において、検察官が、被告人をどの程度の刑に処するのが相当であるかという意見を陳述することをいいます。検察官は求刑の前に論告として、事実や法律の適用についての意見を述べることになっています。

  • 供述調書(きょうじゅつちょうしょ)

    供述調書とは、捜査の過程で、被疑者や参考人などの供述を基にして作成される書面のことをいいます。

    供述調書は、刑事訴訟法上の要件を満たす場合には証拠能力を有し、裁判において証拠として用いられることになります。そのため、供述調書においてはその内容が重要な意味を持ちます。被疑者本人の場合には、取り調べを経て供述調書が作成されると署名押印を求められることがあります。ここで署名押印してしまうと、その供述調書の内容に誤りがないと認めたということになってしまうため注意が必要となります。

  • 供託(きょうたく)

    供託とは、金銭や物品等を法務局にある供託所などに預けることをいいます。

    刑事事件においては、被害の賠償金や慰謝料、遅延損害金などについて、被害者が受領を拒んでいる場合に供託することができます。供託することで、債権者に対して負うべき債務から免れることができ、また被害者の被害回復に努めたという情状証拠とすることもできます。

  • 虚偽自白(きょぎじはく)

    虚偽自白とは、違法捜査を受けるなどして、無実の者が罪を認める自白をするということをいいます。

    自白は有罪の重要な証拠となることから、捜査機関は自白の獲得に熱心になる傾向があり、捜査が行き過ぎるあまりに虚偽自白をさせられてしまうことがあります。

  • 緊急逮捕(きんきゅうたいほ)

    原則としては、現行犯逮捕の場合を除いて令状がなければ逮捕することができないことになっています。しかし、その例外として、殺人などの重大な罪を犯した者を発見した場合に令状を請求している間に逃亡されてしまう恐れなどがあることから、事後的に令状審査を経ることを条件として令状を発付する前に逮捕することです。

  • 禁錮刑(きんこけい)

    禁錮刑は、刑法9条が定める6つの主刑(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)のうちの1つであり、受刑者の自由を拘束する罰です。刑罰の内容としては、刑務所などの刑事施設において拘置されるというものであり、刑務作業を行わなければならない懲役と異なり、刑務作業を行う義務はありません。

    また、同様に刑事施設に拘置される刑として拘留がありますが、拘留は期間が1日以上30日未満であり、禁錮は有期禁錮の場合には1月以上20年未満となり、期間の面で異なっています。

  • 刑事裁判(けいじさいばん)

    刑事裁判とは、罪を犯したとされる被告人が本当に罪を犯したのか、そして罪を犯した場合(有罪である場合)にはどの程度の刑に処することが適切であるかを判断する手続のことをいいます。刑事裁判では、冒頭手続から証拠調べ手続、弁論手続と進んでいき、弁論手続が終結すると判決が言い渡されることになります。この判決に不服がある場合には上訴をすることができ、三審制を採用していることから合計3回まで審理を受けることができます。

  • 刑事事件(けいじじけん)

    刑事事件とは、裁判所が扱う事件のうち、刑罰法規の適用に関する事件の総称です。

    この中には、略式手続や第一審から上告審に至るまでの直接的な刑事裁判手続だけでなく、対象となる事件の発生から始まる逮捕状などの令状請求手続や保釈の手続までをも広く含むことがあります。

  • 結果的加重犯(けっかてきかちょうはん)

    基本的な犯罪から、行為者が意図していないより重い結果が発生した場合に、基本的な犯罪ではなく加重されたより重い犯罪として処罰されることをいいます。例としては、傷害を負わせるつもりで暴行をした結果、被害者が死んでしまった場合に、傷害罪ではなく傷害致死罪が成立するという場合があります。

  • 結審(けっしん)

    刑事裁判の手続においては、冒頭手続、証拠調べ手続、弁論手続という3つの手続を経て、判決が言い渡されるという流れになっています。このうち、弁論手続に含まれる検察官による論告求刑や弁護人の弁論、被告人の最終陳述を終え、判決を待つだけになった段階のことを結審といいます。

  • 嫌疑なし(けんぎなし)

    起訴について独占的な権限を有する検察官が行う処分であり、被疑者(容疑者)が犯人ではないことが明らかである場合になされる、不起訴処分の一類型となります。

    真犯人が明らかとなった場合や、アリバイなどが立証され、被疑者が犯罪を行えないことが明らかとなった場合が、この嫌疑なしとされる典型例となります。

  • 嫌疑不十分(けんぎふじゅうぶん)

    起訴について独占的な権限を有する検察官が行う処分であり、被疑者(俗にいう容疑者)が犯人であるということを立証するためには証拠が足りず、裁判で有罪判決を得ることができないと考えた場合になされる、不起訴処分の一類型となります。

    疑わしきは被告人の有利にという原則の下、確実に被告人が罪を犯したといえる状態でなければ無罪となることから、有罪の判決を得られないと検察官が考えるとこの処分を行うのです。

  • 減刑(げんけい)

    減刑とは、恩赦の一種であり、確定判決による刑を減軽したり、刑の執行を減軽したりすることをいいます。政令で減刑される罪や刑の種類を定め、該当者を一律に減刑する場合や、特定の者に対してのみ減刑する場合があります。

    具体的には、特別な出来事があったときに、死刑囚を無期懲役に減刑することなどが例として挙げられます。

  • 現行犯逮捕(げんこうはんたいほ)

    現行犯逮捕とは、憲法上認められた令状主義の例外であり、犯人であることが明らかであり、誤認逮捕のおそれがないため、令状なしで、警察などでなくとも誰でも逮捕することが認められています。

    具体例を挙げるのであれば、痴漢されている被害者や、その周囲の人など、犯行を目撃していた人が逮捕するという場合が現行犯逮捕にあたります。

    もっとも、一般人が逮捕した場合には直ちに警察官が代表例である司法警察職員や検察官に引き渡さなければならないことになっています。

  • 検察(けんさつ)

    検察とは、公訴の提起(起訴)から公判活動までを行う組織のことをいいます。

    日本においては、検察官一人一人が国家機関として検察権を有することから、検察官自体を指す場合や、その事務を取り仕切る監督官庁である検察庁を指す場合もあります。

  • 公訴(こうそ)

    公訴とは、特定の刑事事件について、裁判所に審理と有罪判決を求める意思表示のことをいいます。

    検察官がこの公訴を提起することを起訴といい、起訴されることによって警察や検察による捜査から、刑事裁判の手続へと移っていくこととなります。また、公訴が提起される(起訴される)ことで、それまで被疑者(容疑者)と呼ばれていた人は、被告人と呼ばれるようになります。

  • 控訴(こうそ)

    控訴とは、第一審の判決に不服がある場合になされる上訴であり、刑事裁判では民事裁判とは異なり必ず高等裁判所が控訴裁判所となります。

    検察官、被告人どちらからも控訴ができます。また、控訴する場合には原判決の言い渡しから14日以内に控訴を申し立てる必要があり、控訴の理由を簡潔に示した控訴趣意書も差し入れる必要があります。

  • 公訴事実(こうそじじつ)

    公訴事実とは検察官が起訴状に記載する被告人が行ったとされる犯罪事実のことをいいます。

    検察官が裁判所に対して審判を求める理由そのものなので、検察官が公訴事実を立証できない場合は「疑わしきは被告人の利益に」の原則に則り無罪となります。

  • 拘置所(こうちじょ)

    主に、未決拘禁者 (刑事裁判の判決が未だ確定していないが、身柄を拘束されている被告人)や死刑確定者を収容する拘置所で全国に8カ所設置されています。留置所との違いは、留置所が警察署に設置されるものであり、その監督は警察が行うのに対して、拘置所は法務省が管轄するという点にあります。

  • 公判(こうはん)

    刑事訴訟法上、公訴の提起がされてから(起訴されてから)判決が確定し訴訟が終結するまでの一切の訴訟手続を指す言葉が広義の公判となります。

    これに対して、狭義の公判とは、訴訟手続のうち、公判期日における事件の審理のみを指す言葉となります。

  • 勾留(こうりゅう)

    勾留とは、被疑者(容疑者)や被告人に対して行われる身体拘束の一種であり、被疑者勾留と被告人勾留に分けられます。勾留は逃亡や証拠隠滅を防止することを目的としており、被疑者勾留の場合は、内乱罪などの一部の犯罪を除いて最長20日間となりますが、被告人勾留の場合には長いと判決が確定するまで身体拘束が続くことになります。

  • 拘留(こうりゅう)

    拘留は、刑法9条が定める6つの主刑(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)のうち、懲役や禁錮と同じ受刑者の自由を奪う自由刑の1つです。刑の内容としては1日以上30日未満の間、刑事施設において身柄を拘置されるというもので、刑務作業の義務は負わないことになっています。

    拘留と同様に刑事施設に拘置される刑として禁錮がありますが、有期禁錮の場合には、1月以上20年未満の範囲で期間が決められることになっており、期間の面で拘留と禁錮は分けられています。

  • 国選弁護人(こくせんべんごにん)

    国選弁護人とは、国が選任する弁護人のことであり、私人が選任する私選弁護人と対比される存在です。私選弁護人との違いとしては、自身が選任した者ではないため、原則として解任することもできませんが、同じ弁護人であり、活動できる内容は同じです。

    経済的理由などから私選弁護人を選任することができなかった場合や、必要的弁護事件において弁護人がいない場合などに選任されることになります。

    また、国選弁護人を被告人段階だけでなく一部の事件では被疑者の段階から選任することができるようになりました。

  • 告訴(こくそ)

    告訴とは、犯罪の被害者やその法定代理人など、法律上告訴権者として規定される者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。被害届は単なる犯罪事実の申告に過ぎないという点で異なりますが、捜査の端緒であるという点で共通します。

    名誉毀損や親族間における窃盗などの親告罪では、告訴が訴訟条件とされているため、告訴がなければ公訴棄却されてしまうことになります。

  • 告発(こくはつ)

    告発とは、告訴権を持つ被害者者以外の第三者であれば誰でも行うことができる、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。

    告発は被害届や告訴と同じく、捜査機関が捜査を開始するきっかけとなる点が共通しています。

さ行

  • 在宅起訴(ざいたくきそ)

    在宅起訴とは、被疑者を勾留などにより身体拘束した状態で起訴されるのではなく、解放された状態で起訴されることをいいます。これは一度も身体拘束されないということを意味するのではなく、一度逮捕などにより身体拘束されたとしても、起訴時点において釈放されていれば在宅起訴と呼ばれることになります。

  • 在宅事件(ざいたくじけん)

    在宅事件とは、身柄事件と対比される言葉であり、被疑者を逮捕・勾留などの身体拘束することなく、事件の捜査を受けたり裁判を受けたりする事件のことをいいます。当初身柄事件として身体拘束を受けていたが、その後釈放されて在宅事件となる場合や、その反対に在宅事件として捜査を受けていたが、身柄事件に切り替わり、身体拘束される場合もあります。

  • 在宅捜査(ざいたくそうさ)

    在宅捜査とは、逮捕や勾留などにより被疑者の身体を拘束することなく、適宜呼び出しをして取り調べなどの捜査を行うことをいいます。一度逮捕などの身体拘束をしてしまうと、捜査機関は厳しい期間制限を受けることになるため、そうした制約を受けない形として、在宅捜査が利用されるケースもあります。

    一度在宅捜査が始まれば、最後まで在宅捜査を受け、在宅事件として扱われるとは限らず、時には身柄事件に切り替えられ、身体拘束をされる場合もあります。

  • 裁判員裁判(さいばんいんさいばん)

    裁判員裁判とは、選挙人名簿から無作為に抽出された者から、個別の事件に応じて6名の裁判員が選任され、職業裁判官3名とともに構成した合議体で審判する刑事裁判のことをいいます。

    一般国民の司法への参加を目的とした施策であり平成21年から開始されましたが、裁判員裁判が行われるのは第1審だけであり、控訴審や上告審では通常通り職業裁判官のみによる裁判が開かれることになります。

  • 時効(じこう)

    刑事事件の時効とは一般に公訴時効を指します。公訴時効とは犯罪の終了後、一定の期間が経つと公訴権が消滅し、起訴することができなくなるという制度のことをいいます。

    法律改正により、殺人罪などでは公訴時効が廃止され、その他の多くの犯罪でも公訴時効が延長されています。

    一般的ではありませんが、刑の時効という制度も存在し、これは確定判決を受け、刑が科されることになったが、逃亡するなどして一定期間刑の執行を受けなかったときに、刑の執行自体が免除になるという制度です。

  • 自首(じしゅ)

    自首とは、捜査機関に犯人や犯罪事実が発覚する前に、自主的に捜査機関に対して犯罪事実を申告し、処分を求める意思表示をすることをいいます。通常は、取り調べや職務質問において、犯罪事実を申告した場合には自首は成立せず、刑が任意的に減軽されるにとどまります。

  • 私人逮捕(しじんたいほ)

    私人逮捕とは、警察などの捜査機関ではなく、一般人が刑事事件の犯人を逮捕することをいいます。私人逮捕は現行犯逮捕でなければ行うことができません。現行犯逮捕ができるのは犯行自体を目撃しているなど、犯人が明らかであり、誤認逮捕のおそれがほとんどない場合に限られます。

  • 私選弁護人(しせんべんごにん)

    私選弁護人とは、刑事事件における被疑者(容疑者)や被告人が自由に選任する弁護人のことであり、裁判所や裁判官が選任する国選弁護人と対比される存在です。国選弁護人とは異なり、自由に選任することができる反対として自由に解任することもできます。また、国選弁護人は、被疑者の段階では、勾留されていなければ依頼することができませんが、私選弁護人であれば勾留されていなくとも、逮捕された段階から弁護人としての活動を開始してもらうことができます。

  • 示談(じだん)

    示談とは、刑事事件における民事の側面の紛争解決をいいます。あくまで民事の側面しか解決していないため、刑事裁判など刑事の側面からの責任追及を免れることはできませんが、不起訴処分が得られやすくなったり、刑の減軽が見込めたりするなどの良い影響が期待できます。

    また、民事訴訟において損害賠償請求されるといった事後的なトラブルを回避することも、示談から見込まれるメリットとなります。

  • 実況見分(じっきょうけんぶん)

    実況見分とは、警察が事件の捜査を行うため、対象となる現場の場所や物、人の身体等を調べることを言います。実況見分は任意捜査として行うものでなので、警察等の捜査機関はその事件に関係するひとに対し捜査を強制することはできず、承諾を得るなどして行われることになります。

    なお、捜査機関によって行われた実況見分の成果を取りまとめたものを実況見分調書と呼びます。

  • 実刑(じっけい)

    実刑とは、執行猶予のついていない自由刑(懲役、禁錮、拘留)の判決を受けることをいいます。実刑の場合には、判決が確定してしまうとすぐに刑務所などの刑事施設に収容されることになってしまいます。執行猶予付きの判決では、猶予された期間内に他の犯罪を起こすなどしなければ、言い渡された刑は執行されることがないため、実刑と執行猶予付き判決の場合とでは本人に与える影響に大きな違いがあります。

  • 執行猶予(しっこうゆうよ)

    執行猶予とは、実刑と対比して用いられることが多い言葉であり、確定した刑の執行を一定期間猶予し、その猶予期間に再び罪を犯すなどしなければ刑が執行されなくなるという制度のことをいいます。短期間であっても懲役などで収容されてしまえば多大な悪影響が生じてしまうことから、その弊害を防止しつつ、罪を犯せば猶予がなくなるという条件から再犯をも防止する目的があります。

  • 自白(じはく)

    自白とは、自己の犯罪事実の全部又は一部を認める供述をいいます。自白は証拠の女王とも呼ばれており、憲法や刑事訴訟法上は、自白のみを証拠として有罪判決をすることはできないとしていますが、有罪の判決をする場合の重要な証拠となります。

    取調べなどにおいて、一度自白をしてしまうと、その記録は残ってしまい、裁判上でも証拠として使用されてしまうこともあるため、自白をする場合には注意が必要となります。

  • 釈放(しゃくほう)

    釈放とは、身体拘束から解放されることをいいます。ここでいう身体拘束とは、逮捕や勾留といった刑事手続き上のものから、刑務所や留置場などでの刑の執行として身体拘束まで幅広い内容を含みます。

    釈放と似たものとして保釈がありますが、保釈は被告人勾留による身体拘束からの一時的な解放を意味するという点で異なります。

  • 出頭(しゅっとう)

    出頭には本人が自らの意思で出向くという意味です。

    刑事事件では大きく2つの場面で用いられます。

    1つめは被害届等が出されており、すでに捜査機関が認知している事件で加害者自身が警察に出向くことケースです。

    2つめは在宅起訴されている事件で、刑事裁判等、裁判所の召喚に応じることです。

    なお、裁判所の召喚に対し、出頭を拒否した場合には罪証隠滅の恐れがあるとみなされ、在宅起訴されていても勾留が許可されたり、保釈を取り消されたりします。

  • 準抗告(じゅんこうこく)

    準抗告とは、勾留や保釈、押収などに対しての裁判に対して不服がある者が、取消や変更を求める申し立てをいいます。刑事事件で頻繁に用いられるのは、逮捕後に勾留が認められた場合や、保釈請求が認められなかった場合の準抗告となります。

  • 傷害罪(しょうがいざい)

    傷害罪とは、刑法の204条の規定された犯罪であり、傷害するということは、人の生理的機能を害する行為を指すとされています。そのため、単に殴る蹴るといった物理的な暴行を加え、傷害を負わせた場合だけでなく、無言電話を繰り返すなどして、被害者にPTSDを発症させた場合などにも傷害罪が成立することになります。

    似た犯罪として暴行罪がありますが、暴行罪は「人を傷害するにいたらなかったとき」とされており、暴行を加えたが被害者が怪我をしなかったときに成立するという点で傷害罪と異なります。

  • 上告(じょうこく)

    上告とは、高等裁判所がした判決に対しての不服申し立てであり、その多くが控訴審に対する上訴となります。上告ができる場合としては憲法違反である場合や判例違反である場合に限られていますが、最高裁判所が職権で原判決を破棄することができるため、これを求めて上告される場合もあります。

  • 情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)

    情状酌量とは、裁判官が被告人に有利な事情を汲み取って、刑を減軽することをいい、正式には酌量減軽といいます。裁判官が考慮する事由としての情状としては、犯行の動機や目的、手段や態様から、被告人の性格、年齢、前科前歴の有無、生活環境など、犯行そのものだけでなく被告人の属性に係る事情まで多岐に渡ります。

  • 情状証人(じょうじょうしょうにん)

    情状とは、刑の量刑の基礎となる事実のことをいい、この情状について、被告人の側に立って証言をする証人を情状証人といいます。

    情状証人はこれまで被告人が置かれてきた状況やこれからの生活環境などについて供述することで、被告人の良い面や、今後更生していくことができる環境が整っていることを立証します。情状証人になる人としては、被告人についてよく知っており、これからも監督していくことができる者として、職場の上司や家族などが担うことが多くなっています。

  • 証人尋問(しょうにんじんもん)

    証人尋問における証人とは、自己の経験によって知ることのできた事実を供述する第三者のことをいい、証人に対して裁判官や当事者、代理人などが事件について問い尋ねることをいいます。証人尋問は通常の公判期日に行われるものや、公判期日外に裁判所や、場合によっては裁判所外で行われることもあります。

  • 書類送検(しょるいそうけん)

    書類送検とは、刑事事件において、警察が検察に事件を送致する際、書類だけを送致することをいいます。被疑者が逮捕されている場合には被疑者の身柄も証拠や書類とともに送致されることから、逮捕されていない、在宅事件においてなされます。また、在宅事件だけでなく、被疑者が死亡している場合にも、被疑者の身柄を送致することはできないため、書類送検がなされることになります。

  • 親告罪(しんこくざい)

    親告罪とは、公訴の提起(起訴)をするにあたって、告訴があることを必要とする犯罪のことをいいます。親告罪は、その中でも告訴があることが公訴提起の条件となっている絶対的親告罪と、特定の犯罪において犯人と被害者との間に一定の身分関係がある場合に限り告訴が控訴条件となる相対的親告罪があります。

    絶対的親告罪の例は、名誉毀損罪や侮辱罪、器物損壊罪などとなっています。相対的親告罪の例は、親族間における窃盗罪や詐欺罪、恐喝罪などとなります。

  • 清算条項(せいさんじょうこう)

    清算条項とは、刑事事件においては示談書において用いられることが多いものであり、両当事者間で示談書に定める他には一切の債権債務関係がないことを相互に確認するといった内容の条項のことをいいます。事後的に当事者間の紛争が生じることがないようにするための規定であり、離婚などの合意書や、和解が成立した場合の和解書などでも頻繁に用いられています。

  • 正当防衛(せいとうぼうえい)

    正当防衛とは、危険が差し迫っている緊急時に自分や他人の身や権利を防衛するためにやむをえず暴行や傷害といった通常時では犯罪とみなされる行為をしても、罪に問われないことをいいます。

    ただし、自分や他人を守るためであっても、過剰に暴力行為等をした場合には、正当防衛に当たらないケースもあります。

  • 接見(せっけん)

    接見とは、逮捕や勾留といった身体拘束下にある者と面会することをいいます。通信や書類・物の収受も加えて接見交通と呼ばれることもあります。

    被疑者や被告人は、弁護人や弁護人になろうとする者と、立会人なしで接見交通をする権利を有していますが、被疑者であり、かつ間近に取調べや実況見分への立ち合いが予定されているなど、接見を認めてしまうと捜査に顕著な支障が生じてしまう場合には、接見の日時や場所、時間などを指定する接見指定がなされる場合もあります。

  • 接見交通権(せっけんこうつうけん)

    接見交通権とは、逮捕や勾留といった身体拘束下にある者と面会することをいう接見を行う権利と、それに加えて、通信や書類・物の収受を行う権利のことをいいます。刑事訴訟法上で認められた権利であり、家族や友人との接見交通権も重要ではありますが、取り調べなどにどう対応していくべきであるかを知ることができるため、弁護士との接見が特に重要とされています。

  • 前科(ぜんか)

    つまり有罪判決を受け、それが確定したことがあることをいいます。法律上の用語ではありませんが、広く一般に認識されている言葉であり、前科があることは累犯加重の事由にあたる場合や国家公務員などの資格制限にあたる場合があります。

  • 前歴(ぜんれき)

    前歴とは過去に逮捕歴・補導歴・非行歴等があるひとや犯罪の嫌疑をかけられたひとに付きます。

    犯罪の嫌疑をかけられ、捜査機関に自身の写真や指紋、DNA等の情報を提供すると疑いが晴れたとしても前歴がつきます。

    日常生活を送るうえで実害はありませんが、類似事件が発生した場合に捜査機関が記録を確認し、「捜査対象者」の参考にすることがあります。

  • 送致(そうち)

    送致とは、警察が検察に対して、事件の証拠や被疑者の身柄など送ることをいいます。報道機関などでは、検察に送るということから送検という言葉を用いることが多くなっています。刑事訴訟法上は、原則として全件送致を定めているため、微罪処分として警察限りで終了する場合を除いてほとんどの事件について、送致されることになります。

    また、被疑者が死亡している場合や、在宅事件の場合には、証拠などの書類だけを送致する書類送検と呼ばれることが行われることもあります。

た行

  • 着手金(ちゃくしゅきん)

    着手金とは、弁護士に弁護活動を依頼するにあたり、弁護活動への着手の対価として弁護士に支払われる金銭のことをいいます。着手への対価であり、弁護活動への対価ではないため、着手後にはさらに弁護士費用が必要となり、また途中で解任したとしても返還されることはありません。

    最近では完全成功報酬制を採用し、着手金を不要とする弁護士も存在します。

  • 懲役刑(ちょうえきけい)

    懲役刑は、刑法9条が定める6つの主刑(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)のうちの1つであり、受刑者の自由を拘束する自由刑にあたります。刑罰の内容としては、刑務所などの刑事施設において拘置され、刑務作業に服することとなります。

    期間は有期懲役では通常1月以上20年以内となっていますが、加重される場合には30年まで、減軽する場合には1月未満にすることもできます。また期間を定めない無期懲役もあります。

    拘留や禁錮の場合には刑務作業を行う義務がないため、その点で異なります。

  • 懲戒(ちょうかい)

    懲戒とは、一般的には企業などの組織の内部において、秩序を維持するために義務違反に対して課される制裁のことをいいます。この制裁は懲戒罰とも呼ばれ、刑事上の責任を問われる際の刑罰とは異なるものとされています。公務員においては、懲戒処分として免職、停職、減給、戒告の4つの処分が設定されています。

    また、刑事施設においても懲戒処分があり、被収容者に対しての懲罰、少年院の在院者に対しての懲戒が法律で規定されています。

  • 陳述書(ちんじゅつしょ)

    陳述書とは、訴訟の当事者である本人やその訴訟で扱われている事件について事情を知る者が、自分の知っていることを記載した書面のことをいいます。刑事事件においては犯罪の嫌疑をかけられている本人についてよく知っている家族や友人、同僚などが裁判官に対して本人に有利な事情としての情状立証を行う際などに用いられます。また、公判廷以外の場でも、保釈の請求をするときや、身元引受人になった場合などにも用いられることがあります。

  • 通常逮捕(つうじょうたいほ)

    通常逮捕とは、法律上認められた3種類の逮捕(通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕)の1つであり、裁判官から事前に逮捕状の発付を受け、その逮捕状に基づいて逮捕することをいいます。

    逮捕状を請求することができるのは、検察官と司法警察員(警察官のうち巡査部長以上の階級の者)に限られており、また逮捕状の発付が認められるためには通常逮捕を行う理由と必要性という要件を満たしている必要があります。

  • 当番弁護士(とうばんべんごし)

    当番弁護士とは、逮捕や勾留といった身体拘束を受けた被疑者(容疑者)が弁護士との接見を求めた場合に、その地域を管轄する弁護士会が派遣する弁護士のことをいいます。法律上規定された制度ではありませんが、各都道府県の弁護士会が行っており、初回の接見は無料で行ってもらうことができます。また、私選弁護人として、当番弁護士にそのまま弁護を依頼することもできます。

な行

  • 任意同行(にんいどうこう)

    任意同行には、刑事訴訟法上のものと警察官職務執行法上のものの2種類があります。

    刑事訴訟法上は、逮捕や勾留といった身体拘束を受けていない被疑者(容疑者)に対してなされる捜査手法であり、警察などの捜査官が被疑者の自宅などに出向き、被疑者の同意を得て警察署へ同行することを指します。

    警察官職務執行法上は、職務質問を行った際に、交通などの関係からその場で質問を行うことが困難である場合に、質問のために警察署までの同行させることを指します。

は行

  • 罰金刑(ばっきんけい)

    罰金は、刑法9条が定める6つの主刑(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料)のうち科料と同じ、金銭の納付を命じられる財産刑にあたります。納付しなければならない金額は1万円以上となっています。同じ財産刑であっても科料の場合には1000円以上1万円未満の納付が命じられることになり、科料と罰金とでは金額面で違いがあります。

    この罰金を支払うことができない場合には労役場に留置され、裁判で決められた期間、所定の作業を行うことになります。

  • 被害届(ひがいとどけ)

    被害届とは、被害者が犯罪の被害にあったことを警察に申告する書類のことをいいます。警察は犯罪の発生を知ることができるため、捜査の端緒となります。

    被害届と似たものとして告訴や告発がありますが。告訴や告発の場合には犯人の処罰を求める意思表示が含まれていることが特徴として挙げられ、警察などの捜査機関には、捜査を開始する義務が生じることになりますが、被害届の場合には捜査の開始義務はありません。

  • 被害弁償(ひがいべんしょう)

    被害弁償とは、犯罪の被害者が、加害者から受ける金銭的な賠償のことをいいます。

    被害弁償に近いものとして、示談とそれに伴う示談金の支払があります。示談の場合にはその内容として、清算条項と呼ばれるものが設定されることが多く、示談合意書で決められた示談金の支払以外には損害賠償を請求することができません。これに対し、被害の弁償ではそれ以降の損害賠償請求が認められるため、民事の紛争を完全に解決するためには示談を行うことが必要となります。

  • 被疑者(ひぎしゃ)

    犯罪の嫌疑を受けた者であり、報道機関などが容疑者という俗称で呼んでいる者のことをいいます。刑事訴訟法では起訴された者を被告人と呼んでいることから、被疑者は捜査の対象となってから、起訴されるまでの間の呼び名となります。

    報道では逮捕された者を容疑者と呼んでいることが多くなっていますが、逮捕に限らず、在宅事件の場合など逮捕はされていないが、被疑者にあたるという場合も多く存在します。

  • 被告人(ひこくにん)

    被告人とは、罪を犯したとして検察官によって起訴された者をいいます。刑事訴訟法は、犯罪の嫌疑をかけられた者を、起訴される前であれば被疑者(容疑者)、起訴後であれば被告人と呼んで区別しています。日本における刑事裁判の有罪率が非常に高くなっていますが、有罪判決が確定するまでは被告人であっても無罪であると推定されることになります。

  • 微罪処分(びざいしょぶん)

    微罪処分とは、全件送致(被疑者の身柄や証拠などを、警察が検察へと送ること)を原則としている刑事訴訟法上の例外であり、警察限りで刑事事件の手続を終了させる処分のことをいいます。微罪処分が許されるのは、ごく少額の窃盗罪など、検察官があらかじめ指定した軽微な犯罪だけで、犯行の状況や警察の裁量によっては、検察官へと送致されることになります。

  • 否認事件(ひにん)

    否認事件とは、被疑事実や公訴事実の一部または全部を認めていない事件のことをいいます。否認事件と対比される言葉としては、被疑事実や公訴事実を認めている自白事件があります。

    否認事件では、弁護の方針として、被疑者や被告人の無実を証明するために、有利な証拠を収集していくことになります。自白事件では証拠収集に加え、被害者との示談交渉を進めるなどしていくことが多いため、弁護の方針は、否認事件であるか自白事件であるかによって決定されることになります。

  • 不起訴処分(ふきそしょぶん)

    不起訴処分とは、起訴不起訴について独占的な権限をもつ検察官が行う処分で、起訴しないことをいいます。不起訴処分は大きく分けると、証拠も十分に存在し、起訴できるがあえてしない場合の「起訴猶予」、証拠が不十分であり起訴しても有罪判決をもらうことができない場合の「嫌疑不十分」、真犯人が明らかになるなどして被疑者の無実が証明された場合の「嫌疑なし」の3つになります。

  • 暴行罪(ぼうこうざい)

    暴行罪とは、刑法の208条に規定される犯罪であり、人の身体に対する有形力の行使を行ったが、人を傷害するに至らなかった場合をいいます。簡単に言うと、物理的な暴行を加えたが、相手が怪我までは負わなかったような場合を指します。

    暴行罪と似た罪として傷害罪もありますが、傷害罪は物理的な攻撃に限られず、また結果として怪我を負っている点で異なっています。

  • 保釈(ほしゃく)

    保釈とは、保釈保証金の納付により、被告人の勾留を解くというものです。保釈の条件に違反することなく裁判が終われば保釈保証金は返還されることとなっています。逃亡や証拠隠滅を図るなど保釈の条件に反してしまえば保釈保証金が没取されてしまうという心理的負担により、逃亡を防止し、出頭するという被告人勾留と同様の目的を達成するというものなのです。

  • 保釈金(ほしゃくきん)

    保釈金とは、正式には保釈保証金と呼ばれるものであり、保釈の条件として納付を命じられる金銭のことをいいます。保証金ということもあり、保釈の条件に違反することなく裁判が終われば返還されることになっていますが、条件に違反してしまうと没取されてしまうことになります。保釈保証金の金額は犯罪の性質や情状、被告人の性格や資産などを考慮し、被告人の裁判への出頭を確保できる金額として裁判所が決定します。

ま行

  • 身柄事件(みがらじけん)

    身柄事件とは、被疑者・被告人の身柄を逮捕・勾留した状態で、捜査が進められる事件のことです。

    身柄事件と対比される言葉は、身体拘束を行わずに捜査が行われる在宅事件ですが、この場合も必要に応じて身柄事件に変わることがあります。

  • 未決勾留(みけつこうりゅう)

    未決勾留とは、裁判所から勾留状が発行された日から判決の言い渡しがあるまで勾留されている状態をさし、未決勾留の期間を未決勾留日数といいます。

    刑事事件で有罪判決を受けた場合、未決勾留日数の全部、もしくは一部を引いた期間が実際刑務所で過ごす期間です。なお、罰金刑等の財産刑の場合には、未決勾留日数1日あたりを4000円として換算し罰金・科料から差し引かれます。

  • 未遂(みすい)

    未遂とは、犯罪の実行行為に着手したが、結果が発生しなかった場合をいい、未遂の罪を犯した者を未遂犯といいます。未遂と似たものとして、実行行為に着手したが、自己の意思によって実行行為を中止したとき、又は結果発生を防止する行為をしたときに成立する中止犯というものもあります。

    未遂は常に処罰されるわけではなく、個別の罪ごとに未遂を処罰する規定がある場合に限り処罰されることになります。

  • 未必の故意(みひつのこい)

    未必の故意とは、故意が認められる場合のうち、罪となる事実を意図していたわけではないが、自身の行為から罪となる事実が発生することがあるかもしれないとわかっていながらそうなっても仕方がないと考えて行為をしたという心理状態をいいます。

  • 身元引受人(みもとひきうけにん)

    身元引受人とは、釈放された被疑者又は被告人の身柄を引き受ける人のことをいいます。身元引受人は、犯罪を疑われている人の身柄を引き受け、次に出頭を求められたときまで罪証隠滅や逃亡をしないように監督することが求められています。身元引受人がいない場合には逮捕されてしまう可能性が高まったり、保釈請求が認められにくかったりします。

  • 無罪推定の原則(むざいすいていのげんそく)

    無罪推定の原則とは、犯罪の嫌疑を受けている被疑者や、起訴された被疑者であっても、裁判所の審理の結果、有罪の判決を受けるまでは無罪であることが推定されるという原則です。

    刑事訴訟法上の、犯罪の証明がない時は無罪の判決をしなければならないという規定は、この原則を基にしています。また、「疑わしきは被告人の利益に」という原則も、この無罪推定の原則から導かれた原則となります。

  • 黙秘権(もくひけん)

    黙秘権とは、憲法上保障された権利であり、自己に不利益な供述を強要されないことを内容としています。ここでいう自己に不利益な供述とは、自身が刑事上の責任を問われたり加重されたりするような供述を指すとされています。

    刑事訴訟法は黙秘権について、保障範囲を拡張し、自己に不利益な供述をしなくてよいことのみでなく、沈黙する、個々の質問ごとに供述を拒むといったことを認め、より広く供述の義務がないことを明記しています。

や行

  • 宥恕条項(ゆうじょじょうこう)

    宥恕条項とは、示談書の内容として盛り込まれることの多い条項であり、被害者が加害者を宥恕(許すという意味)し、処罰を求めないという内容のものです。刑事事件において、被害者が加害者を許しているか、被害者が加害者の処罰を求めているかという点は、検察官が起訴不起訴の判断をする際や、裁判において量刑が決められる際の参考にされることから、事件の加害者である被疑者(容疑者)・被告人にとって有利に働くことになります。

  • 容疑者(ようぎしゃ)

    容疑者とは、犯罪の嫌疑を受け、警察などの捜査機関による捜査の対象となっている者をいい、法律上被疑者と呼ばれている者の俗称です。一般には逮捕された者を報道機関が容疑者と呼称していますが、逮捕されなくとも被疑者であることに変わりはありません。また、被疑者が起訴されると被告人と呼ばれることになるため、被疑者は起訴される前までの呼び名ということになります。

ら行

  • 立証責任(りっしょうせきにん)

    刑事事件における立証責任とは裁判官に対し、「被告人が罪を犯したということを証明する責任」のことを指します。

    刑事裁判での立証責任は原則として検察官が負います。裁判官が「検察官の主張は被告人の罪を立証するに足りえない」と判断した場合には、無罪推定の原則が適用され、被告人は無罪となります。

  • 略式起訴(りゃくしきてつづき)

    略式起訴とは、略式手続を求める検察官の請求のことをいいます。

    略式手続とは、公開の法廷で行われる公判を開かずに書面だけで審理を行い、刑を言い渡すという簡易的な刑事裁判手続です。

    憲法上刑事被告人には公開の法廷で裁判を受ける権利が保障されています。そのため検察官が略式起訴をするためには起訴内容が100万円以下の罰金または科料にあたる罪であること、被疑者が略式起訴されることに同意していることの2つの条件を満たしている必要があります。

  • 留置場(りゅうちじょう)

    留置場は逮捕・勾留によって身柄拘束された被疑者や被告人が収容される施設で警察が管理しており、全国にお1200箇所以上設置されています。

    似たような言葉に拘置所というものがありますが、留置場と同様被疑者や被告人が収容される施設となります。留置場と異なる点は、管轄が法務省であること、全国に8施設であること、確定死刑囚は収監されていることが挙げられます。

  • 量刑(りょうけい)

    量刑とは、刑法典においてその罪ごとに定められた刑である法定刑に、再犯の場合や併合罪の加重などの加重減軽を加えて定まる処断刑の範囲で、被告人に言い渡される宣告刑を決めることをいいます。

    量刑を判断する上では、被告人の年齢や性格、経歴、犯行動機、犯行前後の態度や環境などを考慮し、犯罪の抑制と犯人の更生のために最終的な量刑が決定されることになります。

わ行

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