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【弁護士監修】刑事事件で示談するには?被害者と示談するメリットを知ろう

【弁護士監修】刑事事件で示談するには?被害者と示談するメリットを知ろう

公開日2022/03/07

更新日2022/08/03

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さくらレーベル法律事務所櫻井 唯人弁護士

刑事事件で逮捕されてしまった場合、被害者との示談交渉をなるべく早めに成立させるべきと聞いたことはありませんか。

示談とは、当事者間で謝罪や示談金等について話し合いを行い、双方が合意することによって解決する方法です。

今回は、刑事事件で示談するメリットについて解説していきたいと思います。



【この記事のポイント】

  • 示談するメリットがわかる
  • 示談の仕方や流れがわかる
  • 示談するにはどのようなところに注意すべきかがわかる


刑事事件の示談とは何か?示談するとどんなメリットがあるのか

示談とは、当事者間の争いを裁判の手続きを経ず、双方の話し合いによって解決する方法です。民事上での話し合いなので、刑事事件で示談を成立させても意味があるのか、と考えてしまう方もいるかもしれません。

刑事事件における示談の成立は、被害者から宥恕(ゆうじょ)されたとみなされ、事件化されなかったり、不起訴になったり減刑が望めます

宥恕とは、寛大な心で許すこと、おおめに見て刑事処罰を望まないという意味です。被害者側と早期に示談を成立できれば、加害者側が被る不利益を最小限に抑えられる可能性が高くなるのです。

早期に示談を成立させるメリットとして、大きく分けて次のようなものがあります。

  • 前科がつかない可能性が高まる
  • 執行猶予や減刑が期待できる


早速具体的に確認していきましょう。

前科がつかない可能性が高まる

示談を早期に成立させるメリットとして、不起訴処分となり、前科が付かない可能性が高くなることが挙げられます。

検察官に示談書面を提出した場合、加害者がその加害行為に対して深く反省し、また被害者と向き合い、更生しようと努めているという姿勢を印象付けることができます。

検察官が事件を起訴するかどうかの判断をする際、被害者の加害者に対する処罰感情や、被害が回復されているのかを重要視する傾向にあります。

したがって、損害賠償として示談金を支払ったり、示談書に宥恕文言があり、被害者が加害者の厳罰を望んでいないと判断されると、不起訴になる可能性が高くなります。


執行猶予が期待できる

示談を成立させるメリットとして、検察官に起訴された場合でも執行猶予や減刑が期待できます。

被害者との示談が成立している場合、示談書面は管轄の裁判所に提出することとなります。

刑事裁判となり、加害者が罪を認めていた場合、加害者の反省している態度や、被害者の処罰感情等、さまざまな観点から実刑にするのか執行猶予をつけるのか、どのような刑が妥当なのかを判断します。

加害者と被害者間で示談が成立していると、加害者が罪に対して反省の態度があることや被害者が加害者に対して強い処罰感情がないと判断され、執行猶予や減刑される可能性が高くなります。

このように、示談を成立させることは、執行猶予や減刑を主張するための重要なものとなり得るのです。

刑事事件の示談の仕方は?示談成立までの流れを知ろう

刑事事件において、被害者との示談が成立するのは、大変重要な意味を持ちます。

とはいえ、具体的にどのように示談を進めればいいのでしょうか。早速確認していきましょう。

STEP1.被害者側と連絡を取る

示談を行う場合、まず被害者側と連絡を取る必要があります。

しかし、加害者が警察に逮捕され、身柄を拘束されている場合、加害者本人が被害者に連絡を取ることは物理的にほぼ不可能です。

なぜなら、逮捕されてしまうと最大で72時間は、外部と連絡が取れない状況になるからです。

この期間は、示談の連絡はおろか、家族との連絡も制限されるケースがほとんどです。

では、加害者家族が加害者本人に代わって、示談できるのかと言われると、こちらも難しいといっても良いかもしれません。

というのも警察等の捜査機関は、被害者の保護のため加害者や加害者家族等の関係者に連絡先を教えたがらないからです。

したがって、このような場合には、すぐに弁護士を選任し、示談交渉を代理してもらうのが良いでしょう。

加害者側は、弁護士を選任し、示談の希望を伝えます。

それを受け、弁護士は、警察やその事件の担当検察官に、示談したいことを伝えます。

警察や検察官は、加害者側の示談の希望を被害者側に伝え、被害者側が弁護士との示談交渉に了承した場合、連絡先を教えてもらえることとなります。

なお、加害者が被害者と友人だったり知人だったりした場合には、警察や検察官を介さず、直接被害者に示談の打診を行えるケースもあります。

STEP2.被害者側と示談交渉を行う

被害者側が示談交渉に応じてくれた場合、実際に示談交渉を行います。

加害者側の弁護士は、示談交渉の場で次のようなことを伝えてくれます。

  • 加害者がその加害行為を認め、深い反省があること
  • 加害者が被害者に対し、その行為によって被った損害(治療代や修理代、慰謝料等)を弁償する意思があること

そのうえで、具体的な示談金や、被害届や告訴の取り下げ等の交渉を行ってくれます。

STEP3. 示談が成立したら書面を作成する

示談が成立すると、その成立内容を書面として残します

書面には、謝罪や示談金、被害者が加害者の処罰を望まないといった宥恕文言等が内容に盛り込まれます。


STEP4.示談金を支払う

示談金は、示談成立時に被害者(もしくは被害者代理人)に手渡しするか、指定先の口座等に振り込みを行うことになります。

示談金を期日までに振り込まないと、相手方の感情を損ねてしまうばかりか、せっかくの示談交渉が無駄になってしまいます。

そのため、示談金の支払いは、必ず期日内に指定された方法で行うようにしましょう。


STEP5.示談が成立した書面を検察官、または裁判所に提出する

被害者と示談が成立すると、弁護士はその書面や示談金を支払った証明書をその事件を担当している検察官、または裁判所に提出します。

なお、起訴前に示談が成立した場合は担当の検察官に、起訴後の場合はその事件を担当している裁判所に提出することとなり、提出先は異なります。

また、逮捕されて検察官に送致される前に示談が成立した場合には、被害者に被害届を取り下げてもらうことで、事件化せず、すぐに釈放されるケースもあります。

示談を検討するうえでの注意点

示談の成立は、警察や検察官、裁判所に対して、反省の意思や被害者の処罰感情の有無を伝えるとても大切なことです。

示談は刑事事件の加害者にとって非常に有用な手段ですが、一方で注意すべき点もあり、以下が考えられます。

  • 被害者側に示談を拒否される場合がある
  • 示談が成立しても起訴される可能性がある
  • 費用がかかる

それぞれ詳しく確認していきましょう。

被害者側に示談を拒否される場合がある

示談を検討するうえで注意すべき点として、被害者の処罰感情が大きい場合、その話し合い自体を拒否されることがあります。

示談は、一方的に請求すれば決まるものではなく、当事者間の合意があって初めて、話し合いの場が持てるものです。

したがって、被害者が示談を拒否した場合には、示談交渉を行うことはできません。

拒否されないように謝意や加害行為に対する反省を被害者側にしっかり伝える必要があります。

そのため、「示談交渉できて当然」というような考えは持たないようにしましょう。

示談が成立しても起訴される可能性がある

示談の注意点として、示談が成立したとしても、その行為の重大さや反省態度等によっては、検察官から起訴、また裁判所で実刑判決が下る可能性があることです。

被害者との示談が成立したからといって、必ずしも検察官が起訴しないわけではありません。

また、裁判所も、示談の成立によって必ず減刑や執行猶予を付けてくれるわけでもありません。

起訴の判断や刑罰に関して、示談の成立が重要視される点は間違いないですが、その1点のみが判断基準となるわけではないからです。

例えば、再犯を繰り返している場合や加害行為の結果大きな被害を生んだ場合には、示談は成立していたとしても、実刑判決を受けるケースもありえます。

示談が成立したからといって、必ずしも起訴や実刑判決が下らないというわけではないので注意しましょう。

費用がかかる

示談の注意すべき点として、費用面を考える必要があります。

示談をするには、実費等の被害弁償や、被害者への慰謝料等の支払いが必要となります。

また、刑事事件の示談の場合、多くが弁護士に依頼して交渉を行ってもらうことになります。

刑事事件のトラブルに際し、加害者自身やその家族が選んだ弁護士に依頼した場合、当然ですが着手金や移動費等の諸経費成功報酬を支払う必要が出てきます。

弁護士費用は、事務所によって方針が異なるので、状況にもよりますが高額になる可能性もあります。

したがって、示談交渉を含め刑事事件のトラブルを弁護士に依頼する場合には、事前にどれくらいの費用がかかるのか相談してみると良いでしょう。

示談交渉を行う場合は弁護士に相談するべき

刑事事件の示談交渉を考えた場合、まず行うべきこととして弁護士に相談することです。

刑事事件の示談は、加害者本人や加害者家族が直接を行える状況はかなり限られます

逮捕され身柄を拘束されている状況では、警察や捜査機関が被害者の連絡先を教えてくれるとは限りません。

仮に、加害者本人や加害者家族が、被害者やその関係者と示談交渉を行うことができた場合にも、交渉の仕方によっては悪感情を増幅させてしまい、かえって不利な状況になることも考えられます。

弁護士は、交渉のプロです。

また、依頼を受けた場合には、依頼者の最大限の利益を追求し対応してくれます

したがって、示談を検討している方は、まずは弁護士に相談してみましょう。

まとめ

今回は、示談のメリットや大まかな流れ、注意点等を解説してきました。

示談は不起訴や減刑執行猶予を得るための重要なポイントです。

しかし、示談交渉や、その取り決め書面の作成は、法的知識がないとうまくいかないことがほとんどです。

そもそも、示談交渉の場に着くことも、弁護士の協力なしでは叶わないケースもあり得ます。

したがって、刑事事件で被害者との示談を検討したい、成立させたいとお考えの方は、ぜひ刑事事件に精通した弁護士にご相談ください。

この記事の監修者

さくらレーベル法律事務所櫻井 唯人弁護士

【所属】第二東京弁護士会

「出会う弁護士によってその後の人生が変わる」という信念のもと、多くの案件に携わってきました。特に刑事事件、犯罪被害者の支援、交通事故対応に注力しており、その他、どんな案件にも迅速・丁寧に対応します。

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