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【弁護士監修】万引きで逮捕!?万引きしたらどうなる?

【弁護士監修】万引きで逮捕!?万引きしたらどうなる?

公開日2023/03/17

更新日2023/09/01

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万引きは何罪になるのか

万引きとは、買い物客のフリをしてスーパーやコンビニなどのお店から代金を払わずに商品を持ち去ることをいいます。

そして、万引きについて成立する犯罪は、刑法235条の窃盗罪となります。

窃盗罪は、他人の財物を、その占有者の意思に反して、自己の占有下に移すことを犯罪としています。

万引きでは、その対象となる商品はお店の財物であり、お店は代金という対価をもらった場合でなければ商品を渡したくないと考えているため、占有者の意思に反して、その占有を自身の下へと移すという要件を満たすことになります。

この窃盗罪にあたる犯罪としては万引きのほかにスリや置き引きなどがあります。

万引きは窃盗罪にあたることが原則ではありますが、こうした窃盗行為を常習的にしてしまっている場合には、刑法ではなく特別法の「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」が規定する常習特殊窃盗罪や常習累犯窃盗罪にあたる場合もあります。

この犯罪は、詳しい成立要件は省きますが、簡単に言えば、窃盗を行うことが癖となっているほど何度も窃盗を繰り返している場合、窃盗よりも重い犯罪として規定しているのです。

以下では、窃盗罪にあたる行為となる万引きについて解説していきます。

万引きで逮捕される?

万引きは窃盗罪にあたる犯罪であるため、逮捕されてしまう可能性があります。

そして逮捕にあたっては、現行犯逮捕される場合と事後的に逮捕される場合の2種類があります。

現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、犯罪がなされた場面を目撃した人に犯人として捕まることをいいます。

万引きでは、警戒をしていた店員や警察官らによって現行犯逮捕されることがあります。

この場合には、お店を出たところで現行犯逮捕されることが多いですが、商品をカバンやポケットに入れる段階で犯罪自体は既に成立しています。

防犯カメラで逮捕される可能性

万引きでは現行犯逮捕される場合だけでなく、通常逮捕として事後的に逮捕される可能性もあります。

これは、防犯カメラの映像や目撃者の供述があった場合や、シリアル番号などから被害品であることが確認できるものが質店やオークションサイトなどで売られ、その販売履歴から犯人が特定される場合などです。

万引きの勾留期間

勾留とは、逮捕後に被疑者の身柄拘束を継続することをいいます。

逮捕を前提とした制度であるため、逮捕されない在宅事件の場合には、勾留されることはありません。

万引きについての勾留期間は、他の犯罪と同様に最大20日間となります。

勾留については検察官の請求により10日以内の範囲で裁判官が判断することになります。

そして、やむを得ない事由がある場合には再度検察官が請求し、裁判官の判断で10日内の範囲で勾留を延長することができます。

当初の勾留と、勾留延長を含めた最大の期間が20日間となるのです。

勾留と似た言葉として、拘留という言葉もありますが、これは懲役や罰金と同じ判決によって科される刑罰の1つであり、30日未満の間刑事施設に拘置されることをいいます。窃盗罪において拘留は刑罰として規定されていないため、拘留されることはありません。

万引きでの裁判

万引きについても、起訴された場合は他の犯罪と同様の刑事裁判の手続きを経ることになります。


検察官の起訴

まず、刑事裁判が開かれるにあたっては、検察官が起訴することが必要となります。

起訴とは、検察官が裁判所に対して、被疑者の処罰を求めることをいいます。

起訴された場合には、それまでの被疑者という呼び方から被告人という呼び方へと変わることになります。

刑事事件において起訴後の第1審では、冒頭手続、証拠調べ手続、弁論手続、判決という流れをたどることとなります。

冒頭手続

そして、刑事裁判において最初に行われる手続きが冒頭手続となります。

ここでは、①人定質問、②起訴状の朗読、③黙秘権の告知、④被告事件に対する陳述の4つがなされます。

①の人定質問とは被告人が誰であるのかを確認するものであり、住所や生年月日、氏名などを確認されることになります。

次に②の起訴状の朗読は、被告人を検察官が起訴するにあたって裁判所に提出した起訴状が朗読され、裁判における被告事件を明らかにします。

そして、被告人に対しての権利を告知する③の黙秘権の告知がなされます。

最後に、弁護人や被告人が被告事件について意見を言うという④の被告事件に対する陳述がなされます。

この④は罪状認否と言われることもあり、被告人が被告事件についての認否を示すことで、その後の手続における犯罪の成否や量刑などといった争点が明らかにされます。

証拠調べ手続

冒頭手続の後は、証拠調べ手続が行われます。

ここでは、①冒頭陳述、②検察官の立証、③被告人側の立証、④被告人質問という4つがなされます。

①の冒頭陳述では、証拠を用いて証明しようとする事実を述べることとなります。

具体例を挙げると、証人の証言から被告人が故意に商品をカバンに入れたことなどです。

この冒頭陳述について、検察官は行わなければならないこととなっていますが、被告人側は必ず行わなければならないというわけではありません(裁判員裁判の場合には被告人側も義務となりますが、万引きなどの窃盗事件は裁判員裁判の対象ではありません)。

しかし、否認事件の場合には、弁護人側も行うことが多くなっています。

②検察官の立証と③被告人側の立証は証拠を用いて双方が立証活動を行うことをいいます。

ここでは、まずは対象となる証拠について証拠調べを請求し、相手側の意見を聞きつつ、請求が認められた証拠については尋問(証人の場合)などを用いて証拠調べを行う流れになります。

④被告人質問では、被告人に対して質問がなされ、それに答えていくこととなりますが、黙秘権が保障されているため答えたくない質問には答えないということもできます。

弁論手続

証拠調べ手続が終わると弁論手続に移ります。

ここでは、①検察官による論告・求刑、②弁護人の弁論、③被告人の最終陳述があり、これらが終わると結審することとなります。

①は論告と求刑に分かれます。

論告とは、検察官が被告事件についての意見を述べることをいいます。

そして求刑は被告人に科すべき刑について述べることをいいます。

弁護人の弁論は、検察官と同様に、弁護人が被告事件について意見を述べることとなります。

③被告人の最終陳述は、最後に被告人が意見を述べることをいいます。

自白事件では反省の弁をここで述べることが多くなっています。

判決

以上の手続を経て、最終的には裁判官が、被告人が無罪であるか有罪であるか、そして有罪であればどれくらいの刑に処すべきなのかを判断し、判決を宣告することになります。

万引きで逮捕されたときの刑罰

万引きで逮捕されたとき、必ずしも刑罰を受けることになるとは限りません。

これは、刑罰が科される場合には、略式手続きによることもありますが、通常は刑事裁判により判決が言い渡される必要があるためです。

そのため、逮捕されたとしても、不起訴処分などの刑事裁判を受けないこととなった場合や、非常にケースとしては少ないですが刑事裁判で無罪判決を勝ち取った場合には、刑罰を科されません。

窃盗罪で刑罰を科される場合には、窃盗罪の量刑の範囲内となります。

万引きについては窃盗罪と住居侵入罪が成立しますが、この2つの犯罪は牽連犯という関係にあることから重い方の窃盗罪の刑罰で処罰されることになります。

窃盗罪の刑罰については10年以下の懲役または50万円以下の罰金として規定されています。

万引きで刑務所に入ることはある?

万引きが窃盗罪にあたること、そして、刑罰として懲役が規定されていることから、懲役という形で実刑判決を受けた場合には、刑務所に収容されることがあります。

その一方で、実刑とはならず、執行猶予がついたり罰金刑となったりすることもあり、結局は事案によりますが実刑になる割合はだいたい50パーセント程度といえます。

万引きで逮捕されないために

万引きをして逮捕されてしまった場合、およそ3日間、その後の勾留も含めると最大23日間に渡って身柄が拘束されてしまう可能性があります。

身柄拘束期間は、自分で外部と連絡を取ることができないだけでなく、家族であってもなかなか面会が認められません。

そのため、身柄拘束期間が長引くほど、会社や学校との関係で生じる悪影響が大きくなっていきます。

こうした逮捕による不利益を回避するためには、弁護士に相談することが重要となります。

法律の専門家である弁護士に相談し、弁護活動を依頼することによって逮捕されてしまう可能性を低くすることができます。

具体的な弁護士の弁護活動としては、万引きをしてしまったお店との示談交渉や逮捕されずに取調べを受ける際のアドバイスを行うことなどがあります。

まとめ

万引き事件では、逮捕されなかったとしても、在宅事件として起訴されてしまうこともあります。

逮捕や勾留といった身柄拘束の制度は、被疑者の逃亡や証拠隠滅を防止することを目的としています。

そのため、身元が明らかとなっている場合など逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合には逮捕されず、適宜呼び出しを受けて取調べを受けるということもあります。

しかし、勾留は逮捕が前提となっていますが、起訴は逮捕を前提とはしていないため、逮捕されずに起訴されてしまうということもあります。

起訴されてしまった場合の非常に高い有罪率を踏まえると、逮捕されないことと同様に起訴されないことも重要となります。

この場合においても、弁護士への弁護活動の依頼が効果的です。

逮捕された場合には、捜査機関に対して被疑者を監督する環境が整っていることを主張するなどして早期の身柄解放を求めるといった活動も行われます。

弁護士に依頼するメリットとして、逮捕をされる前から、最終的に刑事裁判を戦い抜くまで継続して支援を受けることができます。

万引きをしてしまったとき、していないにもかかわらずその疑いをかけられているときにはできるだけ早い段階で弁護士に相談し、弁護活動を依頼した方がよいでしょう。

この記事の監修者

弁護士法人エースパートナー法律事務所阿野 順一弁護士

■神奈川県弁護士会
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